ビジネス書や経営セミナーでは、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)が重要だと言われます。
「崇高な理念を掲げよ」
「ビジョンを共有し、組織を一枚岩にせよ」
でも、実際の動物病院の現場では、そんな高尚な言葉は上滑りします。
額縁に入れられた理念は、日々の忙しさの中でただの風景と化します。
スタッフの行動指針にはなり得ず、院長の自己満足で終わっているのが現実です。
額縁の中の「理念」と、現場の冷めた視線。院長の孤独な空回り
朝礼で理念を唱和する声が響く。
でも、スタッフの目はうつろで無力感に溢れてる。
診療が始まれば、その崇高な理念とは裏腹な、院長の感情的な指示が飛ぶ。
「言ってることとやってることが違うじゃないか」
スタッフの無言の抗議が聞こえてきそう。
院長自身もそれを薄々感じながら、どう軌道修正すればいいか分からない。
よそ行きな言葉が、現場の泥臭い現実の前で無力化していきます。
「やりたくないこと」を基準にする。泥臭いコミュニケーションと線引きの技術
理念を立てたからうまく進むわけではありません。
理念に固執すれば、かえってスタッフは離れます。
院長自身が体現できていなければ、その言葉に信憑性はありません。
解決策は、高尚なものを捨てることです。
第一に、ビジネス書的なミッションやビジョンは不要です。
むしろ「当院では、これは絶対にやりたくない」を明確にしてください。
それがはっきりとスタッフに浸透している方が、よほど実践的な判断基準になります。
第二に、頭でっかちな理念より、人と人との肌感を大切にしてください。
コミュニケーションを丁寧に重ねれば、極論、理念は必要ありません。
「院長が何を考えているか分からない」という状態をなくすこと。
それが全てです。
第三に、肌感覚の付き合いが苦手なら、明確な線引きをしてください。
ここまでは任せる。
ここからは相談する。
「丸投げ」と「一任」の違いは、そこに信頼に基づいた合意があるかどうかです。
動物病院の理念を「使える道具」に変えるために。今日から始める、泥臭い対話
借りてきたような言葉で、スタッフを動かそうとするのはもう終わりにしましょう。
まずは今日、スタッフを一人捕まえてください。
そして、院長が診療において「絶対にやりたくないこと」を一つだけ、質問してみてください。
院長の等身大の判断基準を、どこまで理解してくれているか。
肌感覚で伝えることから始めてみてください。
