ビジネス書やセミナーでは、リーダーはスタッフの模範であるべきだと言われます。
「院長自身がルールを守らなければ、スタッフはついてこない」
「自分に甘く他人に厳しいダブルスタンダードは組織を崩壊させる」
教科書的には、全員が同じ基準で行動することが正解とされています。
規律を正し、公平な環境を作ることが信頼への近道である、という理論です。
診察室の隅でスタッフが抱く「ダブルスタンダード」への静かな怒り
朝、スタッフが慌ただしく掃除を終え、1分前行動を徹底している。
その横で、院長は当たり前のように遅れて入室し、コーヒーを飲みながら指示だけを飛ばす。
診察が始まれば、スタッフの不手際を厳しく叱責する。
院長が片付けを忘れても「忙しいから」で済まされる。
処置室に漂う、あの冷ややかな空気。
そんな状態になっていないでしょうか。
権限委譲を成功させるための「仕組み」と信頼の再構築
世間の常識では「院長も同じルールを守れ」と説かれます。
ただ、本質はそこではないと思ってます。
大切なのは、スタッフが抱く「違和感」の正体を見極めることです。
「口を出すが手は出さない」状態は、スタッフには特権意識として映ります。
一方で、「口も出さないし手も出さない」状態は、信頼に基づく権限委譲として受け入れられます。
この差を埋める解決策は二つあります。
第一に、日々の関係性への投資です。
感謝の言葉を欠かさない。
日々の行動に思いやりを混ぜる。
関係性の貯金があれば、役割の違いによる基準の差は「信頼」として受容されます。
第二に、人間性を排除したシステマチックな評価の導入です。
感情に左右されない仕組みを作ります。
できていることを客観的に評価する。
基準を明確にし、達成を可視化する。
どちらの道を選ぶにせよ、本質的な問題は基準の不一致ではなく「関係性の負債」です。
思いやりが見えない行動が積み重なれば、ダブルスタンダードという言葉で批判されます。
院長とスタッフは役割が違うからこそ、その隙間を埋める配慮が必要です。
動物病院の仕組みを動かすために、今日から始める関係性の修復
朝の診療前、昼の休診時間、そして午後の診療後。
スタッフが診察以外の時間で、具体的にどんな業務に追われ、どんな苦労をしているか。
まずはそこに、意識的に目を向けることから始めてください。
忙しくて時間がなければ、ヒアリングするだけでもいいです。
「見てもらえている」という実感がなければ、どんな言葉も響きません。
関係性の赤字を解消しない限り、どんな立派な仕組みも機能しません。
スタッフとの関係性で、冷ややかな空気を感じたら、まずは行動してみましょう。
