最近、動物病院専門でM&A(事業承継)を扱う企業を調べています。
VCA Japanさんを筆頭に、アニコムさんや、個人系の病院グループなど様々にある中で、少し気になった企業があって、
その企業は、主に地域の一次診療を担う動物病院をグループに迎え、運営を統合していく仕組みを持っています。
採用、人事、労務、財務、Webマーケティングなど、
基本的に院長先生が一人で抱え込んでいた経営業務をすべて本部が引き受け、院長先生には「診療」に専念してもらう。
簡単に言えば、そんなビジネスモデルです。
この仕組みをみて、自分が常に抱いている「ある言葉」を改めて噛み締めていました。
「院長が変わらないと、病院は変わらない」
でも、「そうそう簡単には変えられない」
これは個人病院における真実だと思ってます。
正しいと分かってても、できない経営判断がある
たとえば、こんな病院があったとします。
毎日たくさんの患者さんが来院し、スタッフは昼休憩も十分に取れない。
院長先生自身も体力的に、精神的に疲弊してる。
人を採用しても、過酷な環境に耐えかねて、スタッフがなかなか定着しない。
外側から客観的に見れば、
「診療件数を少し減らした方がいい」
「予約制を導入してコントロールした方がいい」
「1件あたりの診療時間の見直しと必要なら診療料金(単価)を上げた方がいい」
などなど、言うのは簡単です。
ただ、当事者の院長先生にとって、それを決断するのは簡単じゃない。
そもそも診療自体が季節性、天候、顧客層などで変動要因もありますし、
- 「診療件数を減らしたら、売上が一気に落ちるのではないか」
- 「長年通ってくれた患者さんが離れていってしまうのではないか」
- 「『あの先生は診てくれなくなった』と地域で噂されるのではないか」 など
今までの努力で積み上げてきたものを、自分の手で変えていくことになります。
そうした方がいいと頭では理解できても、
「不安・・・」
そんな経営判断が、実際の現場には溢れてます。
M&Aだからこそ、飛び越えられるハードル
M&Aという仕組みは、失うものはたくさんあるけれど、
この「院長の不安」を構造ごと肩代わりできる点にあるんじゃないかと思ってます。
経営権が本部に移れば、リスクを院長先生が背負う必要はなくなります。
「診察数を減らす」「予約制にする」「料金を改定する」といった決断を、
本部が培ったテンプレートや市場調査の数字の根拠を持って「この形でも病院は経営していける」と判断し、責任を持って実行する。
値上げによって一時的に患者数が減ったとしても、その分のリスクを本部のマーケティング力で補完する、
といった組織的なアプローチも可能になるのでしょう。
もちろんM&Aが正解だとは思いません。
設備投資や人員配置を自分だけで決められなくなるでしょうし、報酬を自由に決められない、
受けたいセミナーにいけない、懇親会の費用すら経費にできない、など経営の自由度はほぼゼロでしょう。
親会社自体が事業売却すれば、方針自体が変わるリスクもあるでしょう。
それでも、「院長が変わる」という、もの凄くハードルの高いプロセスをスキップして、組織として病院を変革できる。
これはM&Aにしかできない、圧倒的な価値なのかもしれないと感じてしまいました。
経営権を持たないコンサルに何ができる?
ここまで考えて思うのは、自分のコンサルの立場です。
自分はM&A企業のように経営権を買うわけではない。
病院のルールを強制的に変える力もない。
例えば、自分が「診察数を調整しましょう」と提案しても、最後に決めて、リスクを取るのは院長先生自身です。
じゃあ、自分は何のために、院長先生の隣にいるのか。
自分のようなコンサルができることは、
精神論だけでなく、数字を用いて、最悪の事態と、最良の未来を一緒に考えることなんじゃないかと思ってます。
目の前で繰り返されている
「採用できない」
「人が辞める」
「患者が減る」
「売上が下がる」
という問題に対して、もぐら叩きのように対策を打ち続ける前に、
一度だけ立ち止まって一緒に考えてみませんか?
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