教育コスト高騰と業界の危機感

 

教育コストが跳ね上がる——

セミナー代の高騰が突きつける、新しい悩み

 

 

「最近、実習系のセミナー代がとんでもなく上がっているらしいんだよね。」

 

 

ある動物病院の院長との会話で、そんな話を聞きました。

 

具体的には、6ヶ月で18万円だったコースが、内容は大きく変わらないにもかかわらず、54万円に値上がりしそうだという。

 

詳細な条件までは分からないですが、その院長は長年、勤務医にセミナーを受講させ、教育投資を継続している方で、業界の相場感にも明るいはず。

 

 

その先生が「本当に高くなっちゃった」と漏らすのだから、現場の肌感として、相当にインパクトのある変化なんだと思います。

 

 

 

 

「育てたい」気持ちと、「保証がない」現実の間で

 

 

 

院長が抱えていたのは、単なる価格上昇への不満ではないです。

 

勤務医を育てるにはお金がかかる。

 

セミナーだけでなく、診療の時間、指導の手間、フォロー体制、院内の教育設計——すべてが投資。

 

ところが、教育した勤務医が長く働き続けてくれる保証はない

 

むしろ市場環境を見れば、転職は当たり前になりつつあり、個人のキャリア選択としても自然な流れになっている。

 

その中で、教育投資が「数十万円単位で跳ね上がる」事態が起きたら、院長としては問い直さざるを得ない。

 

 

どこまで勤務医に知識の投資をしていけばいいのか。
本音として、困ってしまうよね。

 

 

この言葉は、教育の大切さを分かっている人ほど刺さる。

 

育てたいのに、経営としては判断が難しくなる。

 

そんなジレンマが、いま現場のど真ん中にあるように感じました。

 

 

若手が感じ始めた「この業界、安心して働けないかも」という空気

 

 

 

ここ最近、若手側の“就職・転職の動き”にも、気になる兆しがあります。

 

 

きっかけは、人材紹介会社から届いたメールでした。

 

内容は「(獣医師の)登録が500人に進みました。なので採用活動を急ぎましょう」といった趣旨の一文です。

 

 

院長から聞いた話というより、私自身がその文面を見て、“500”という数字に驚き、危機感を抱きました。

 

この数字の正確な定義(対象期間や母集団など)はメール文面だけでは判断しきれません。

 

 

ただ、それでも「登録500」というメッセージが“営業トーク”として成立するほど、獣医学生が就職時に人材紹介会社を利用する状況にあること。

 

 

これ、一般の業種だったらあり得ないです。

 

 

あくまで私見ですけど、この文面から見えるのは、

 

  • 自分で探すより、紹介会社を頼った方が安全そう
  • そもそも動物病院業界はブラック
  • 先輩が苦しんでいる姿を見て、不安になる

 

といった、獣医学生の“業界への認識”が背景にある可能性もあるんじゃないかと

 

 

先輩たちが恵まれない環境で疲弊している姿は、後輩たちにも伝わる。

 

 

そしてその連鎖が、動物病院業界は「安心して働けない業界」という評判を強め、結果的に採用や定着をさらに難しくしていく。

 

 

そこに教育コストの急騰が重なれば、現場は二重に苦しくなる。

 

 

 

ハード(知識)だけじゃない。

だからこそ、ソフト(ホスピタリティ)をどう伸ばすか

 

 

 

 

自分は獣医ではないです。

 

だからこそ、知識や技術といった“医療ハード”の面は分からない分、

ソフト面——ホスピタリティやマネジメント、組織づくりの支援をおこなってきました。

 

 

そんな中、こうしたソフト面での周辺でも「均一化」と「利便性」が進んでます。

 

 

たとえば、愛知のりんごの樹動物病院「one luke」というトリミング型ホテルのサービスにも関わっているという。

 

 

創業数年で全国100店舗以上に広がるようなチェーンが、トリミングやホテルの領域でも当たり前になりつつある今、飼い主の身近には“便利で外れない”選択肢が溢れてきている。

 

 

そんな環境で、動物病院が提供する接遇や、

トリミング・ホテルなどのケアサービスにおいて、どんな「差」をつけられるのか——

 

 

この問いも、ホスピタリティの重要性を押し上げる連鎖になっているように思います。

 

 

 

 

変化は「個々の病院の努力」だけでは吸収できなくなっている

 

 

 

 

動物病院業界全体が「採用」「育成」「定着」の三つ巴で難易度を増している今、個人経営の動物病院がどこに力を入れるべきかは、簡単に答えが出ません。

 

 

  • 知識投資が高騰するなら、院内教育に軸足を移すべきか
  • それとも外部教育を厳選し、定着策により投資すべきか
  • あるいは、ソフト面(働きやすさ・安心感)を強化し、そもそもの離職を減らすべきか

 

 

どれも正しいです。

 

ただ、全部はできません。だから悩ましいです。

 

 

教育の外部コストが上がる。

若手の不安は増える。

紹介会社への依存が進む。

 

 

現場は疲弊し、ますます「安心して働けない業界」という印象が強まる——。

 

 

 

この流れを止めるには、もうひとつの病院、ひとりの院長の頑張りだけでは限界があるのかもしれないと感じます。

 

だからこそ、業界として“働く安心”をどう作るか、育成をどう設計し直すかを、改めて考えなければいけない。

 

そう感じさせられています。

▼ひとつだけ聞かせてください

 

いま院内の育成で、あなたが最も不安に感じているのはどれでしょう?

 

  • 「投資しても辞めるかもしれない」
  • 「教える時間が取れない(現場が回らない)」
  • 「教育の質が属人化している」
  • 「安心して働ける雰囲気が作れていない」
  • そのほか、何が一番大きいですか?

 

▼今日いまからできること

 

まずは“投資の対象”を1つに絞って、この3点を5分でメモしてみませんか?

 

1)スタッフに何をできるようになってほしいか(到達点)

2)それができたら、病院にどんな良い変化が起きるか(回る/安心が増える 等)

3)辞めないために、同時並行で整える「信頼関係づくり」は何か(声かけ/振り返り/相談導線)

 

紙でもスマホでもOKです。

 

 

 

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