今日は「1件の口コミ」をシェアしたいと思います。
口コミは、長年連れ添った愛犬を見送られた飼い主さまが、10数年通った病院に宛てた内容でした。
そこには、過去に大病を救ってもらった院長先生への深い感謝が綴られる一方で、静かな「諦め」の言葉も書かれてました。
十数年大変お世話になりました。大病しましたが、先生のおかげで長生きしてくれました。とても感謝しています。
病院の規模が大きくなり、スタッフも足りないせいか、途中から看護師さんの質が悪くなってしまいました。
予約を朝イチで取っても診察が長くなるからかと後回しにされていることに気づきました。
先生も忙しくて余裕がないのか、心配で連れて行っているのに、気のせいか呆れるような表情をされることがありました。
苦渋の決断だったが、転院することにしました。
全然怒っている内容ではなくて、口コミの最初と最後にはむしろ感謝が綴られていて、
その中で、忙しそうな空気に圧倒されて、悩み抜いた末にその病院をそっと去っていった。
そんな光景が目に浮かぶような口コミ内容でした。
誰も悪くない、という落とし穴
この話を読んだ時、自分は誰のことも責める気になれなかったです。
「頼られると断れない」院長先生の優しさ。
忙しさの中で余裕をなくしてしまう現場スタッフ。
かつてあった温もりを求めながら、傷ついて去った常連の飼い主さん。
誰も悪くない。
全員が一生懸命なのに、確実に大切な何かが壊れていく、失われていく。
今回の口コミは、チームや組織が気づかないうちに崩れていくかもしれないサインを教えてくれた貴重な意見なのかもしれないと感じました。
現場に手を入れる前に、問い直したいこと
こういう問題が起きた時に、
多くの場合は「スタッフを増やそう」とか「スタッフを教育し直そう」とか、現場の手入れが入ると思います。
私も支援する立場として、そうやって動くのが常です。
今の時代、飼い主さんの要望には終わりがないです。
医療レベルも、便利さも、深い寄り添いも、すべてを求めてくる。
それにできるだけ応えてきた結果、
「1ヶ月先まで予約がパンパンに埋まっている」
目の前の診療に対応するだけで1日が終わる。
ありがたいことだと思いますが、その代償として、10数年も自分たちを頼ってくれた、大切にすべきはずの人が寂しそうに裏口から去っていくとしたら。
それは本当に望んでいる結果なのかな、という風に感じてしまいました。
いま、どんな状況が見えたのか
すべての患者に対応すること、
目の前の人を大切にし続けること。
このバランスは本当に難しいテーマで、正解はないと思います。
ただ、忙しい状況の中を必死にコントロールする前に、
一度立ち止まって、
自分たちにとって本当に大切にしたいものは何なのか、
今回みたいなことで逆に「どんな状況が見えたのか」をしっかり見つめ直す機会にしていただきたいなという風に感じました。
「できないことが分かった」という側面も含めて、そこに見える景色をいろんな角度から見つめてみる。
病院を維持するために必要な「限界利益」をしっかり把握する。
「これくらいなら患者数が変動しても絶対に潰れない、大丈夫」
こういった客観的な数字の安心の土台も、まずは頭の片隅に置いておくことも大切。
本当に大切なことを、この飼い主さんの言葉は私たちに投げかけてくれているんじゃないかな、と捉えたいです。
みなさんの組織では、いま、どんな状況が見えていますか?
ひとつだけ聞かせてください
もし同じ課題が起き続けるとしたら、いま、守り続けている前提は何でしょう?
- 「スタッフに給料を支払わないといけない」
- 「患者に求められる以上、応えないといけない
- 「余裕がないのは割り切るしかない」 など
今日いまからできること
気が付けば、最近ふっと来なくなっている飼い主さんを思い浮かべてみませんか?
- 何人くらい、顔が浮かびますか?
- その人たちに、もし次に会えたとしたらどんな声をかけたいですか?
紙でもスマホでもいいので、
「名前(または特徴)/最後に来た頃の様子/かけたい一言」を、2〜5人分だけメモに書き出してみませんか?
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