こんにちは、北村(@PLAN-B)です。
動物病院を5年、10年と経営されていると、どうしても避けられないのが「売上や診療数の減少」という現実です。
たとえば、
- 先月に続いて今月も来院数が減っている
- 開業当初から通ってくださっていた患者さんが亡くなった
- 顧客数が目に見えて減ってきている
- 初診件数が数年前より確実に減っている
こうした場面に直面すれば、経営者として焦りや不安を感じるのは当然だと思います。
自分だけが危機感を抱いているように思えてイライラが募ることもあるでしょう。
実際、ご相談いただくケースもこういうシチュエーションが多いです。
そのとき、多くの院長がまず考えるのは「料金の値上げ」や「スタッフの働き方の見直し」かもしれません。
僕らコンサルからもこうした状況下で提案するプランはこういった内容が多いと思います。
ただ、こうした状況に置かれたときにまずしていただきたいのは、
「目の前の売上」をどうにかすることではなくて、あえて「自院の成長可能性」に目を向けることです。
どんぐらい成長のポテンシャルがあるかっていうのを検証してほしいんです。
5年後を見据えた問いかけ
ここで、1つ考えていただきたい成長への問いがあります。
• 5年後、今より売上や診療数を 1.25倍 に増やせそうか?
• 5年後、今よりスタッフの給与を 1.25倍 に増やせそうか?
感覚的な要素で充分です。
今より1.25倍に増やせそうかどうか?
この1.25倍という数字を簡単に説明すると、
これは感覚的な数字ではなく、社会全体の変化を踏まえた現実的な試算によるものです。
日本での賃金上昇率やインフレ率を考慮して、インフレ率はおおむね年3%前後。
これを複利で考えると、5年後には約1.22〜1.28倍のコスト増になる計算です。
よく言われているように「現状維持」で経営しているだけでは、実質的には後退してしまいます。
スタッフにとっても、5年後に給与が据え置きであればモチベーションが下がるどころか、最低賃金違反というオチになるかもしれません。
こういった「変化」に対して
変化に対応するためには「バイタリティ」が必要ですよね。
長く経営されていれば痛感されると思いますが、体力的なスタミナだけでなく、精神的な持久力、すなわち「心の体力」が年々必要になってきます。
この問いに対して「成長可能性が難しい」と感じるのなら、それは危機ではなく「変化のサイン」だと思います。
これまでの右肩上がりの施策だけでは、未来の環境に「心」が対応できないシグナルだと受け止めるべきだと私は思うんです。
現状、スタッフ採用も厳しく、現場のスタッフに気を使いながら一人で病院を支えている院長が、さらに売上を伸ばし続けることは本当に現実的でしょうか。
むしろ、「心」と向き合って、現実的なアクションに舵を切るほうが持続可能な経営へつながる可能性が高いと私は考えます。
次の一手を考えるために必要な視点
「変化のサイン」を感じたとき、具体的にどんなことを検討すべきか。
まず検討できるのは、診療体制の見直しです。
たとえば、ワンドクター制に移行する、看護師の人数を抑えながらも少数精鋭で高付加価値・高収益の診療体制に切り替えるといった方向性があります。
人員が少なくても安定して回せる仕組みに転換できれば、院長の負担も大きく軽減されます。
また、診療以外の収益源を育てる視点もあります。
たとえば通販やオンライン相談、セカンドオピニオン外来など、院長自身の強みを活かした新たなサービスを組み込むこともできます。
実際に、セカンドオピニオンのオンライン相談で第2の収益源を確立している先生や、血液検査データと栄養指導を組み合わせて安定した売上を生んでいる先生もいらっしゃいます。
こういった具体的な施策で大切なのは、「思いつき」で新しいことを始めるのではなく、自院の強み=ご自身の強みや適性を丁寧に棚卸しすることです。
似たり寄ったりのサービスが身近にある飼い主様にとって、何を価値と感じてもらえるのか、感じていただきたいのか。
自院が提供するサービスに価値を感じていただけなければ高付加価値・高収益につなげることすらできません。
具体的な取り組みのイメージ
たとえば、
• ワンドクター制への移行では、売上減少の不安と人件費(コスト)減少とのバランスを見極めながら、無理なく業務を整理するステップ設計が必要です。
• 高付加価値・高収益化では、サービス内容を増やすことではなく、「見える化」「説明の仕方」「診療体験の質」を工夫することから始められます。
• デジタル施策では、LINEなどを活用し、休診日や診療の合間にも飼い主様とのつながりを維持する仕組みを構築できます。これは、来院数が減少しても既存顧客から安定的に収益を確保する柱になり得ます。
自院に合った方法を一緒に設計する
もちろん、ひとりとして同じ院長はいらっしゃらないですし、病院ごとにスタッフ構成や地域特性、飼い主様層は異なります。そのため、正解の形は一つではなく、それぞれに合った方法を一緒に設計することが大切です。
私のセッションでは、こうした仕組みを院長先生と一緒に「自院仕様」に落とし込むことが特徴です。
売上を伸ばすことよりも、単価UPを受け入れてもらえることの方が難しい。
自院の強みを言語化し、実現可能なステップを描きながら、新しい収益の形をつくるご支援をしています。
動物病院の経営は孤独で、将来の不安がつきまとうものです。
たし、次の一手を見つけることができれば、その不安は「心のバイタリティ」に変わります。
もし今、売上や診療数の減少に直面しているなら、ぜひ一度オンラインセッションをご活用ください。
将来を見据えて「現実的か非現実的か」を判断し、自院に合った行動の第一歩を一緒に描いていきましょう。